ベルリンから人生敗者復活戦。

ワーキングホリデーの失敗談を綴る。その失敗の過程と、失敗から出直す、敗者復活戦の過程も勝手に配信する。

「試用期間中にアナタはちゃんと逃げなさい」ベルリンでワーホリ現地就職しても安泰ではないね。転職活動開始します!

 「試用期間中にアナタはちゃんと逃げなさい」と先輩職員に諭されました。

ぽかぽかの太陽に包まれて芝生の上でお弁当をつつく長閑なランチタイム。公園を後にしたらオフィスまでの帰り道でアイスを買って食べる。大好きな先輩と一緒に「春がきたねえ〜」と穏やかに過ごした日々は2週間ぐらいで終わりを告げて、昨今のランチタイムはもっぱら将来をどうするか、外国人としてどうやってベルリンで生活して行くのか、真剣な会話ばかりを交わすようになりました。

私が働いている会社には日本語話者が二人いて、日本人とスペイン人、二人の先輩に支えられながら今日まで仕事をしてきました。2月から働いているので、既に3ヶ月が経っています。思い返せば3ヶ月とは思えないほど濃厚に時間がすぎて行きました.たかが3ヶ月ですが、されど3ヶ月。新規取引先を開拓したり、別プロジェクトでバタバタしたり、通常業務を覚えながらもメインはもっぱらリサーチ、交渉。正直、いっぱいいっぱいになりながら何とかやってきた感じです。

3ヶ月も過ごしてみると、やはり色んなことが見えるし耳に入ってくる、そして見聞きしたことを実感する訳で。鈍感ながらに、あんまり雰囲気はよくないなあと漠然と感じておりました。でもどこか暢気に「とりあえずココで働きながらドイツ語を覚えたり生活の基盤を築いて、1年ぐらい働いてみてから転職活動とかしないと行けないんだろうな〜」と考えていました。正直な話「ここに入るまでの就活でも苦労したのだから、出来ればドイツ語力と人脈に自信がつくまで転職なんてしたくない」と甘えた考えがありました。そんな私の漠然とした姿勢を感じ取った先輩達は、「ハッキリ言わないとフェアじゃないから」との決意から「試用期間中にちゃんと次を見つけといた方が良い」と諭して下さいました。

 

ある日突然、職場環境はガラリと変わる。「3人分の仕事を1人で出来ますか?」

先輩達は離職を検討し始めていたのです、タイミングまでかなり具体的に。二人が離職を考えていることは私も薄々感じ取っていたので、私なりに「いつか一人になっても仕事を回せるように仕事を覚えなければ!」と、細かくマニュアルを作製しておいたり、社内で誰がどのような仕事をしているのか把握したり、とにかく失敗すら「先輩がいるうちに失敗が出来て良かった」と思うほどで、どうにか自衛出来るように努力するようにしていました。しかし先輩達は驚くほどに人格者なので「一人で頑張りすぎてしまう」私の性格まで見抜いていました。「その働き方の姿勢だと、先輩達が離職してチームが一人になった時、会社に潰されてしまうのではないか」と心配していたのです。

「日本人はどうしても無理をしがちだし、責任感もある。今までの日本人スタッフも同様で、だからこそ会社側もプッシュすれば日本人達は無理矢理にでも働くと思ってしまっている。アナタも頑張り屋さんだから、きっと仕事量に押しつぶされて体調を崩してしまうわ。」と2年間頑張って働いてきて、アレルギーに腹痛、様々な体調不良を抱えている先輩が真剣に私を心配してくれます。スペイン人の同僚も「身体を壊してしまったら、転職活動どころか生活自体が出来なくなってしまうよ。元気なうちに、次の手段を模索し始めるべきだと思う。」と話してくれました。2年頑張って働いてきた人が、見切りを付けた事実。そして「可愛い後輩じゃなければ守ろうとしないし、伝えたりもしない。アナタを残して行くことは心配だから。」と、もう泣けるぐらい親身に話してくれました。

 

試用期間中はいつでも退職出来る、正式に雇用されると退職し辛くなる。

私の契約は最初の半年は試用期間となっているので、7月末で雇用の契約は切れることになっています。会社側から切られない限りは契約更新となるのですが、それ以上に私から契約を更新しない、という手段がとれるのもこのタイミングです。

正式な雇用契約を結んでしまうと離職の際には手続きが必要となりますし、また「離職は後任が見つかってから」という義務が課せられてしまうこともあるとのこと。つまり離職の際に「会社に損失を与えない」ことが大切になってくるのですね。会社がすんなりと後任を採用し、トレーニングさせてくれれば話が早いのですが、ウチの会社で「退職願から後任探し、トレーニングを経てからの離職」までに1年かかった人がいました。その人は激務がたたっての体調不良だったのですが、離職出来るまでの更なる1年間でもっと体調を崩したとのこと。つまり正式に雇用されると仕事をして行く上では一見安泰ではありますが、いざ離職を考えた時に手続きは簡単には進まないと言う難しさが出てきてしまうのです。まあ、日本でも同じでしょうか。

 

企業に雇用される際の労働ビザの縛り「ビザは雇用先の企業にヒモづいている」

日本とドイツで異なる点と言えば、私がドイツにおいて外国人である、という一点に尽きます。私は外国人ですから、ドイツに住む限り正式なビザを必要としています。そして正式なビザを得る為にはフリーランサーなどにならない限り、私はドイツ企業から雇用契約をうける必要が出てきます。そしてビザは「日本人を必要としている業務があることが認められているA社にて働きます」という前提で発行されるので、ビザには「勤務先」が印字されます。その為、そのビザは「A社で働いている限り有効」である為、離職すると同時にドイツにおける滞在資格すら失ってしまうのです。つまり会社と不都合があった場合に即「離職してやる!」と思ったとしても、それは同時に日本帰国を意味する部分でもある為、ドイツに滞在したい限りはA社で働き続けることになります。

もしくは転職活動を行い、B社に面接を受けに行ったとしましょう。そして採用が決まったとします。その後B社からの契約書を持って役所に行けば「労働ビザの労働先の書き換え」を行うことも可能という事例も聞いたことには聞いたことがあります。が、離職の手続きってどうなっているのでしょうか?そんなに直ぐに離職できる会社であれば良いですが、もしA社が離職に時間がかかる会社であった場合、そしてB社が「すぐに働き始めることが出来る人が欲しい」と思っていた場合、この転職は失敗ということになります。

大抵の求人は「直ぐに働きにきて欲しい」と思って採用活動をしていますから(現に私の雇用がトントン拍子に進んだのも同じ理由でした)、正式に雇用されるとスムーズな転職活動を行うことはかなり難しいと言うことが分かるのではないでしょうか。(もちろん日本でも同じですけど)この点からも先輩達は「退職に縛りが無い試用期間のうちに転職活動を始めておいて、何かあった時の為にも選択肢を増やしておくべきだ」とアドバイスを下さったのです。「ドイツまできて、まさか日本のブラック企業のような扱いを受けることは無いだろう」と思っていた私は甘く、ドイツでも「買いたたける人材は買いたたかれる」のです。

 

「〜is only half the battle(終わりではない)」

ここで突然の急展開ですが、一つTEDの動画をご紹介させて下さい。彼女は脱北女性のイ•ヒョンソさんです。彼女のスピーチでは「脱北に成功しただけで終わりではない。苦労は脱北後も続く」というご自身の体験を話されています。

何かの障害を乗り越えたとしても、その後さらに対処しなければならない問題がある時に「〜is only half the battle(終わりではない)」と表現します。彼女も「自由を手に入れる、それだけで終わりではない」と話しています。

www.youtube.com

日本語字幕付きはこちら → イ・ヒョンソ : 北朝鮮からの脱出 | TED Talk | TED.com

 

彼女ほどの苦労をされた方と私を比べる気はないのですが、何か一つ大きな変化を得ようとした場合、その変化に辿り着くまで様々な段階があり、無数の「〜is only half the battle(終わりではない)」を積み重ねて行くことになる点は、私の現状にも重なりました。

ドイツ、ベルリンにワーホリで住んでみることだけが終わりではなかった。だから現地就職を目指し、労働ビザを習得する形での移住を目指していました。しかし現地就職に成功し、生活が安定したとしても、その仕事で過度のストレスを受けてしまったら?体調不良まで起こってしまったら?「生活を安定させる為の」現地就職で終わりではなかったのです。次は「精神的にも安定する為の」転職活動が必要となってきました。正直3ヶ月前の就職活動と比べて有利になる点があるとしたら「実際にドイツ企業で働いていた職歴がある」この一点だけです。あとは英語の履歴書だけではなくドイツ語の履歴書を準備する気力と助けてくれる友人がいる点でしょうか。また同様に外国人としてベルリンで生活してきた友人達が、それぞれ目標の仕事を見つけ、情報も手にしています。彼らに相談しながら「ベルリンを拠点に日本市場進出を目指している企業はないか」探して行きたいと思います。

うーん、この急展開。結構ショックではあるけれどもまだワーホリビザの期限まで3ヶ月はあります。最悪7月で契約切れしても8月いっぱいは藻掻ける訳だし。人生何があるか分かりませんが、出来るところまでやってみましょう。ダメだったら日本帰国か、耐えて現在の仕事を続けることだって出来る。選択肢だけは自分で拡げておく、これが最大の防御だと思います。そして私を信じ、また心配して胸の内を明かしてくれた先輩達には感謝しきれません。どうしてこんなに素晴らしい人材を大切にしないのか、会社には「???」です。