ベルリンから人生敗者復活戦。

ワーキングホリデーの失敗談を綴る。その失敗の過程と、失敗から出直す、敗者復活戦の過程も勝手に配信する。

ベルリンで違う国籍、文化圏の異性とWG(シェアハウス)にて二人で暮らしています。トラブルが起こった時はひたすらドイツ語で対話して最後にハグ!

はい、今回はベルリンあるある、WGネタです。WG(ウェーゲーと読みます)とは簡単に言えばシェアハウスのことで、一つの家なりアパートを二人〜数人にて共同生活をすることです。ベルリンは学生やアーティスト、また移民など様々な理由でWGを選択する人が多く、また最近の家賃の値上がりや「引っ越したくても部屋が見つかりません問題」もあり仕方なくWGを選択する人もいます。もちろん仲良しグループのシェアハウスも沢山あります。とにかくベルリンではWGで生活する人が多く、また同様にWGならではの問題で悩まされる人達も多く存在します。私はアパートにて、違う国籍の、全く異なる文化圏から来た異性と暮らすことになりまして、まあ、それはそれはもう色々ありました!そして現在進行形で、色々と起こっております。今日はそんなWGで他人と暮らすことについて書いてみようと思います。

 

違う国籍の、全く異なる文化圏から来た異性とWGで二人暮らし

私が住むアパートは個人部屋が2つ、共同のキッチン、お風呂とトイレがあります。暮らしているのは二人なので、それぞれが個人の部屋を持っています。

もともとは私のドイツの友人が所有する部屋であったのですが、私がベルリンに来るタイミングでその友人が別の国での仕事が決まったので、空になるベルリンの部屋にそのまま住まわせてもらう、というラッキーで部屋が見つかったクチです。ベルリン到着前には私一人での生活だと思っていましたが、いざベルリンに来てから友人より「部屋探しで困っている難民の子も一緒に住まわせてあげて欲しい」と話を受け、「困っているのはお互い様」という二つ返事で了承しました。その時は「難民の彼が他に部屋を見つけるまで」と聞いていたので、長くても1−2ヶ月の話だと思い、それが違う国籍の、全く異なる文化圏から来られた異性であったとしても、あまり問題には感じませんでした。

まあ、この話がいつの間にか変化し、そのまま彼が同じアパートに留まることになったと聞いた時はかなり驚きましたよね。ベルリンでは部屋探しが本当に大変です。「部屋さえ見つかれば!」ぐらいの心境の人は沢山いますから、WGで異性と暮らす人も珍しくはないようです。しかし違う文化圏かつ、異性との暮らしは元から仲の良い友人、カップルで無い限りはトラブルはさけられないと思います。私も例に漏れず、まあ彼とは沢山のトラブルがありました。

 

お互いの共通言語は拙いドイツ語のみ!コミュニケーションが取れない!

コミュニケーションって言葉だけではないとは思います。でも、そもそも友人でもなく、お互いの事情もよく知らないままにいきなり同じアパートで生活が始まった私達。ボディーランゲージで伝わるほどの絆もありません。言葉でのコミュニケーションが非常に重要です。が、彼は中東イランからの難民。初めての外国語はドイツ語、英語は話せません。私はドイツ語の挨拶程度しか身につけていないままにベルリンに飛び込んできたお馬鹿者。まさか国際都市ベルリンまできて英語が話せない外国人とルームシェアすることになるとは思ってもいませんでした。その時の彼のドイツ語レベルはA2.1.(初級)私はA1.1(超初級)もう、どっちも幼稚園レベルしか話せないんですよ。。。「あ!キッチンのコンロを付けっぱなしにしている!危ない!」と思って注意したくても、単語が出て来ない。だから黙って静かに私がスイッチを消す。きっと彼も「お風呂に髪の毛が落ちたままだ!」と思っても、きっと私には言わないまま、そっと対処して我慢してくれていたと思います。お互いに丁寧に接しようとしても、ひとつのことを話すのも一苦労。だって思考回路は成熟した成人なのに、使用言語が幼稚園レベル。お互い様だと思って我慢出来るところは我慢しながら、なるべく「ココが問題だから、こうして欲しい」など起承転結付けた説明と相談はさけていたと思います。むしろ最初2ヶ月は皆無でした。

 

家ではくつろぐ文化の日本人と、家には他人を招く文化のイラン人。

そんなこんなで何とかやり過ごしながら生活を続けていた私達は、お互いに「自分のすべきことに集中しよう」という気持ちがあったのでしょう。私は就職活動を続け、彼は大学進学準備などを進めていました。生活のリズムにも違いがあったので、すれ違うことも多く、私の中では「同じアパートで別々に住んでいる人」という認識でいました。コミュニケーションを取れる時は取っていたのですが、私は英語話者の友人と過ごすことが多く、彼もまた主にイランコミュニティーで過ごすことが多かったようです。ルームシェアをはじめる際に「友人を呼ぶ際には事前に相手に連絡して、オッケーを貰うようにしよう」と約束してはいましたが、彼が約束を守ったのは最初の数回程度で、その後は事前連絡無しで友人を連れてくるようになりました。私も「約束を守られないことは不満でもあるが、あまり目くじらを立てるのはどうであろうか」と遠慮があり、そのまま黙認することが続きました。ベルリンまできても日本人であることは変わらず、家ではゆっくりくつろぎたい、というのが私の文化です。一方イラン人の彼は、家は人を招く場所だと思っているので、友人を招いて夕食を振る舞うことが好きです。もちろん事前に連絡があれば私もキッチンを片付けたり、適当な格好でリビングで勉強をしたりなどしません。またゲストが来る、という心構えにもなれたでしょう。しかし、ゆっくりとした日曜日の午後を過ごしていた時に、連絡もなしにイキナリ10人のイラン人がやってきて、そのままパーティーが始まった時は流石に頭にきました。余りにも勝手な振る舞いだと思えたからです。

 

WG生活6ヶ月目にして初めての話し合い。そして実感するドイツ語の上達と出るわ、出るわの不満。

ゲストの前では挨拶を済ませ、どうしても落ちつかない私はカフェに移りました。そして5時間ほど後に家に戻ると、パーティーはまだ続いています。次の日は朝から出掛ける必要があり、私は静かに寝たかった。携帯のメールでルームメイトをキッチンに呼びだし、「話がしたい」と切り出しました。

最初にゲストは事前に連絡すると約束をしていたはずであったことや、もし私が病気で寝込んでいたらどうするのかと、連絡無しに大人数のゲストを招かれることがどれほどストレスであるか伝えました。彼の方でも共有スペースでの掃除の分配や、また自身の文化としてゲストを招くことの重要性、そしてそれまで私に遠慮しながら生活してきた不満を話してきました。半年前のぎこちないドイツ語が嘘のように、起承転結のある不満と希望、筋が通る理屈での反論、文法や単語、発音のでたらめさはありましたが、お互いが驚くほどにドイツ語でスラスラと意見をぶつけ合いました。どれほど互いに我慢してきたのか、この時ほど実感したことはありません。その後、掃除箇所の担当決めと「ゲストを呼ぶ際には事前に伝えること」を約束しました。

 

トラブル後の話し合いの後に、再度向き合って話す時間が大切

実を言うと、最初の話し合いでは私の弁が立ちましてブチ切れていたことも相まって「一ヶ月ゲスト禁止ルール」をブチ上げていました。私も同様に友人を呼ぶことは出来ませんが、ここまでしないとどれだけ私が怒っているか、実感してもらえないと思ったからです。もともとの約束を反古にしていたこと、また確かに連絡無しでパーティーを開いた引け目もあり、また多分人生で初めて女性から強く叱責されたショックからか、イラン人のルームメイトは「今後一切ゲストは呼ばない」と言い切りました。しかし友人を大切にする彼が、自宅に友人を呼べないことはとても辛いことなど私にも分かり切っていたので、二週間後に話し合う時間をとって「事前に連絡してくれたらゲストがくることはもちろん構わないし、私も同様に友人を呼ぶ時は連絡する」と伝えました。お互いに相手が真からの悪い人間でも嫌なヤツでもなく、まあ違う文化圏と生活リズムの相手であるということは知っていたので、話せば理解出来ます。私も一方的に日本の文化を押し付けることはしたくないし、同様にだからといってイランの文化だけを押し付けられても困ることを伝えました。コーヒーを飲みながら、後は互いの生活の話を続けます。私に仕事が見つかったこと、彼が大学進学の為にドイツ語の試験を考えていること。不慣れな言語でコミュニケーションを取ることは難しいけど、それでもどうにかしたい気持ちは同じです。

 

守られない約束と、コミュニケーションの不足。再びのゲストトラブル。

平和に過ごしていても、やはり一度お互いに感情をぶつけて話し合ってしまったからか、互いを尊重しつつも未だに「同じ空間で別々に暮らしている」という感覚のまま時間がすぎました。もちろん顔を合わせれば話もしますし、たまに食事を一緒にすることもありますが、基本的には別々で生活していました。その間もゲストが来る時には互いに連絡し、それぞれの担当箇所の掃除はシッカリと行っていました。しかし一通のメール連絡で誤解が生まれてしまいます。

「Ab 29, Mein Freund kommt, ein par tag」このメッセージを私は「29日から友人が来る。二〜三日。」と受け取りました。しかし、彼に取って「ein par tag」は「しばらくの間」という意味だったのですね。私は30日、31日、翌月になっても一週間以上滞在し続ける友人の存在に混乱しました。一体いつまで滞在するのかと。私は約束が違うと思いました。そして再びコーヒータイムです。

前回感情的になってしまったので今回は「何か事情があるのか?」とこの状況の背景を聞きました。すると何でも無い、お互いの認識違いであったのです。ドイツ語の不慣れさもあるかと思いますが、日本人にとっての「しばらく」と、イラン人にとっても「しばらく」の期間には大きな開きがありました。そして彼には「いつも警察の取り調べのように話し始められるのは不快だ」とハッキリ言われました。このとき「約束を破るなんて最低だ」と怒っていた頭が冷え、むしろ私自身のコミュニケーション不足を痛感し、深く反省しました。

約束を守る、お互いを尊重するだけではなく、同じアパートで暮らす以上、最低限どころではないコミュニケーションが不可欠です。何故メールを受け取ったとき、遊びにくる彼の友人についてもっと知ろうとしなかったのか。どんな友人であるか、どこで知り合ったのか、どんな思い出があるのか。友人が訪ねてきてくれることは嬉しいことですから、どうして私も一緒に歓迎しようとしなかったのか。以前の10人規模のパーティー以来、ハウスルールを定めたけれども「ルールさえ守れば互いに快適」だなんて単純なことではありません。歩み寄って、歩み寄って、互いの行動の背景を理解しようとしてきただけで、私はルームメイトの彼自身のことを本当の意味で大切にしようとは思えてなかったのだと気づきました。

 

「オハヨウ」「ただいま」の挨拶をしたら、ハグをしよう

今回の話し合いでは「ハウスルールなどくだらない」という結論がでました、というか私が出しました。お互いに尊重する気持ちがあれば、ルールで縛ることも、ルールだけで満足することもなくなると分かったからです。何よりもコミュニケーションが一番大切で、話さえすれば、私達は驚くほど分かり合えるし、やっぱり悪いヤツじゃないなって再確認出来るのです。互いに相手を尊敬しているし、応援だってしています。

今回は思い切ってお互いの恋愛状況も明かしました。異性と生活する以上、色恋沙汰でガタガタしたくなかったので、私は自意識過剰であろうとも恋愛関係の話はずっと避けてきました。でも、お互いにデートしている相手がいて今更ルームメイトを恋愛対象に見ることはありません。「ごめん、タイプじゃないんだよね」と平和的に相互確認も出来ました。だから、これからは挨拶する時はハグもしよう、と私から提案しました。ヨーロッパでは仲の良い友人が挨拶と同時にハグをすることは当たり前の文化です。「おはよう〜」とニュースを読みながら振り返りもせずに挨拶することは出来ても、ハグをするとなれば相手の顔を必ず見るし、体調や気持ちの浮き沈みだって察することが出来ます。コミュニケーションが増えれば誤解も減るし、互いのミスや不満も軽く伝えることが出来ます。これ以上の他人感満載なルームシェアを打破する為には、私から態度を改めて、もうグッと距離感を詰めるしか無いと思いました。フレンドリーで友人を大切にするイラン人です、私の提案をすごく喜んでくれました。

 

トラブルがあっても、このアパートに住み続けてきた、住み続けて行く

ルームメイトとトラブルが続いても、数日気まずい空気が流れても、ベルリンで外国人である以上住むところを新しく探すのは大変だし、このアパートは立地も良ければスーパーも駅も近い、私も彼もこの家から出て行くことは考えていません。だからこそトラブルがあったとしても、不満があっても、「住む場所は必要だから」とお互いがグッとこらえてきたのだと思います。

一度は彼と友人になろうとも思いましたが、友人とも何か違うし、やっぱりルームメイトなのだと思います。ルームメイトだからこそ築ける関係があるだろうし、互いの存在に助けられることもしばしばです。鍵を忘れた時とかね。あとビザ情報やドイツ語学習法、普通に互いの文化の料理をシェアしたり楽しいこともあるんです。私はかなり大雑破な人間なので、キッチンがすっごくイラン料理臭くなっても笑うだけだし、お返しに私が醤油臭くすることだってあります。きっと私のシャンプーの減りが早いのは気のせいだし、たまに私の担当のゴミ捨てが知らない間に完了していることだってあります。これからもトラブルは起きて、その度に話し合う必要が出てくるでしょうが、いつだってコーヒーを飲みながら「どうしたらお互いが快適に過ごせるか」「どこまで譲歩出来るのか」「どこを反省すべきか」一緒に考えて行きたいと思います。

話しても通じない人が溢れる世の中で、話せば通じる相手と暮らせるだけ本当に有り難いことです。もっともっと話して、ついでにドイツ語も上達させて、よりよいWG空間になるように、私から始めて行きたいと思いました。