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ベルリンから人生敗者復活戦。

ワーキングホリデーの失敗談を綴る。その失敗の過程と、失敗から出直す、敗者復活戦の過程も勝手に配信する。

【日本劇場未公開】「スケルトン・ツインズ幸せな人生のはじめ方」 コメディアンこそ至高の役者!SNLのビル・ヘイダーが好きすぎて。

このポケッとした表情!大好きなコメディアンが大好きな俳優でもある件について。

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ベルリンの図書館でジャケ選びした映画第二弾。ビル・ヘイダーが好きすぎて一目で確信しました、「絶対に良い映画!」見てみよう! NYどころか全米で最高の支持率を誇る長寿番組Saturday Night Live(サタデーナイトライブ)頭文字だけをとって通称SNLと呼ばれています。この番組で絶大な支持を受けていた人気コメディアンが今回の映画の主演の一人ビル・ヘイダー。2013年にSNLを惜しまれながらも卒業したビル・ヘイダーの初映画主演作品と銘打たれています。お相手の主演女優も同じSNLで看板コメディエンヌとして活躍していましたクリステン・ウィグ。同級生みたいに同時代のSNLを牽引してきた二人なので、双子役はまさにはまり役でした!

 

SNLって何?ビル・ヘイダーって誰?「なんてったってステファン!」

先ほどの説明ではまだまだ彼のコメディアンとしての実力が説明式でないので、先に彼の代表的なスキット(短編ドラマみたいに台本がある漫才みたいなもの)のキャラクター「ステファン」をご紹介させて下さい。

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字幕無しなので英語が苦手な人にはチンプンカンプンかもしれませんが、ここでは「City correspondant(NYの案内人)」として彼独自の視点から「春にNYを訪れるならばオススメはこのスポット!」のように地元民ならではの情報提供を行うキャラクターを演じています。まあ、この情報提供がヒドいんだ!絶対に子供を連れては行けないし、思わず二度聞きしてしまうような「え?」な場所や内容をブっ込んでくるので、言わずもがな大人気コーナーとなっています。毎回必ずオススメのクラブの紹介をしてくれるのですが、「クラブの名前は”Your mom and I are separating.(パパとママは離婚することにしたよ)”」とか、「This plavce has everything, broken glasses…(このクラブには何だってあるの、割れたグラスに〜)」とアングラ感がハンパない。この映像ではクラブの名前が「セルフぃ〜!」になってましたね。丁度セルフィーが流行りだした頃でした。 

極めつけは必ずどこかで入れてくるミジェントネタ。ミジェントとは身長が小さい、小人症の方々を現す単語(侮蔑語にもなり得る)で、とにかく差別的要素が含まれているので使用には本当に気をつけなければいけないのですが、ステファンはガンガンにぶち込んできます。ステファンが「ヒューマンルンバっていうのがあって〜」と話し始めれば、「え?何ソレ?人間のルンバ(床などを掃除してくれる便利な円形の掃除機)?」と司会者が聞き返す。そしてステファンが「そうそう、ミジェントが這いつくばって床のゴミとかを食べてくれるの!」ととんでもないことを言って退けるので、「そんなものは存在しないだろう!」と司会者に𠮟られる、ここまでが一連の流れです。(※アメリカでは差別に敏感でありながらも、ギリギリの笑に収まるラインで差別的な用語もコメディーに使用することが多々見られます。コノ場合ではゲイであるステファンが、同じマイノリティーであるミジェントの方々をネタにする、という背景があるので割と反感を買わずに定番ネタとして毎回新ネタが披露されていました。)ブっ飛んでいるようでウィットに富み、何よりも良いながらステファン役のビル・ヘイダー自身が「俺、何言っているんだ?」と途中から笑がこらえられなくて吹き出してしまう、そんな面白さもあって、3回目ぐらいからはステファンが登場するだけで歓声が上がるレベルまでのキャラになりました。ご紹介した映像では、ステファンもアンカー役のセス・マイヤーも両方笑いがこらえられない様子がたまらなく面白いです。

 

ステファンが大人気過ぎてキャラクターの卒業はスペシャルバージョン、結婚までしちゃう!?

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ステファンは司会者役のセス・マイヤーのことが好き!という設定だったので、番組中には何度もセスに好き好きアピールで迫ります。でもなかなか実らない恋に「もう、貴方以外の人と結婚するわ」と足し去ってしまうステファン。今までは袖にしてきたセス・マイヤーも実は憎からず思っていた訳で。最後には超ゲイでパンクで、もう訳分からん結婚式に乗り込んで行き、ステファンを映画「卒業」さながらに攫って行く、という卒業イベントまで放映されました。ここまで見て頂ければ分かると思いますが、何と言ってもキャラへの入り込み様がコメディーレベルを超えていると思います。流石アメリカ!とでも褒めたくなるぐらい、映像にもお金がかかっていますし、相乗効果でビル・ヘイダーらの演技が極まって見えますよね!

SNLのスキットではハリウッド俳優の実力が分かる!?最強は〇〇!

SNL出身でコメディー中心の俳優になった人達は数多くおり、エディー・マーフィーが一番が有名でしょうか。文章タイトルにもつけましたように、私は「コメディアンこそが至高の役者!」と言いたくなるほど、コメディーの演技が出来る人ほど実際の演技もお上手だと思っています。SNLには毎回有名ゲストがコメディーにも参加するのですが、ここで「コメディーも上手いんだ!」と思わせる役者さんと「コメディーはアカンな(大したこと無いんだな)」と思わせる人と2パターンあります。現在のジェームス・ボンド役のダニエル・クレイグは本当に面白くなかったし、優等生アン・ハサウェイは結構面白くて「コメディーも出来るとか優等生すぎるだろう!(優等生すぎて嫌われちゃうとか可哀相すぎて私にはすごく面白い)」と思いました。でも最強は「歌えて、演技も出来て、コメディーも出来る」オールマイティーなスターです。それがジャスティン・ティンバーレイク!彼はSNLの殿堂入りに仲間入りしましたが、コメディアンのアンディ・サムバーク(The Lonely islandというクオリティーの高いフザケタかつ下品な歌を歌う音楽ユニットを番組ないで結成し、2枚もアルバムを販売するわ、ビルボードでも初登場3位になるとかスゴい人気でしたよ〜)と一緒にコンビを組んで発表した下品な歌「Dick in the box(箱入りチ○コ)」で全米を湧かせたのは10年前。それ以降演技力も買われ、今では俳優としても確固たる地位を築いています。

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(何故かポーランド語の字幕がある映像しか見つからなかったけれども、まあ、下ネタすぎるので英語字幕とか逆にいらないと思います!)

彼に続く実力の持ち主はブルーノ・マーズですね。本業の歌でミリオンヒットを飛ばし、毎年キャッチーな歌と斬新なファッションで素晴らしい歌を届けてくれますが彼はジャスティン・ティンバーレイク以来の逸材です。彼の出演回は何度見みても面白かった!特に「ラジオ局のインターン生」として働いている時に、「ちょっと機械の故障で放映中の音楽が消えちゃいそうだからお前が歌って誤摩化してくれ!」という無茶苦茶なフリにたいし、マイケル・ジャクソンのモノマネをしたり、ケイティー・ペリーを歌ったり、芸達者ぶりを発揮していました。

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演技と言えるのかは不明ですが、ブルーノ・マーズが生意気なティーンエイジャー女子を振り切って演じ切ったこのコントも素晴らしすぎる。普通にウケる笑

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前置きが長くなりましたが、私が熱弁したい「SNL出身のコメディアン達が俳優転向するとめっちゃ良い役者さんになる」説、お分かり頂けましたでしょうか?今回の映画は、そんなSNLでレギュラー出演者として人気を博していた二人が共演しています。ストーリーはなかなかにシビアなのですが、そんななかでも笑わせたりしてくれるシーンがあり、それが無理矢理感がなくて自然なのは演じた二人の力量ではないかと思います。

 

スケルトン・ツインズの簡単なあらすじ

さて、やっと!やっと本題に入れます。(長過ぎる前置きでしたが悔いは無い)今回のスケルトン・ツインズのストーリーはこんな感じ。

「離ればなれに暮らしていたのに同じ日に自殺未遂を起こした双子の姉弟が織り成す交流をユーモラスに描いたヒューマンドラマ。恋人と別れて自殺未遂を起こしたゲイの青年マイロ。偶然にも同じ日に自殺を考えていた二卵性双生児の姉マギーは、知らせを受けてマイロと10年ぶりの再会を果たす。これを機に故郷ニューヨークで一緒に暮らしはじめたマギーとマイロは、時にはぶつかり合いながらも姉弟の関係を築き直していく。」映画.comより

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コメディアンをキャスティングした人に一杯奢りたい!悲壮的なストーリーを強弱つけて演じるにはコメディアンが一番でした。

まずはこの映画、どうしようもないぐらいに哀しくなるキャラクター設定のポイントを挙げるだけでも、主人公の二人の生き辛さが伝わってきます。冒頭は、さあ死のうと薬を手にした姉マギーが、あと一息!という所で携帯電話の着信音に引き戻されるところから始まります。電話は病院からで、10年間音信不通となっていた弟が自殺を図って入院中だと知らされるのです。 ※このシーンではGrowing pain(痛みが育つ)というテーマの曲を流す、という皮肉をあえて演出したと監督が撮影秘話で語っていました。ものすごいセンスですよね。※

—自殺未遂を繰り返すマイロ

双子の主人公の弟マイロ(ビル・ヘイダー)は、役者になる夢をもって地元を飛び出すもLAでは役者として成功することも無く、遂には自殺未遂を測ってしまいます。そして姉のマギーに連れて帰られて戻った地元でも、また辛い出来事があるとついつい高いビルに登ってしまったりと、その行動には危うさが伴います。

—夫が居るのに浮気が辞められないマギー

一方、不安定な弟を支えようと務めて冷静で安定した姉であろうとするマギーも、内面はグチャグチャに破綻しており、愛する旦那さんがいるにもかかわらず家庭外でのふしだらなセックスを止めることが出来ません。自分の行動を恥じ、旦那に負い目も感じ、弟のマイロと同じぐらいに死にたい気持ちを持て余していました。

—絶対的不安定な時期に保護者が不在:文字通り二人きりの姉弟

この二人が作中で見せる姉弟ならではの姿に「こんなにも仲良しの姉弟なのに、どうして何年も疎遠になっていたのだろう?」と疑問がわいてきます。後半で明らかにされるマイロの過去の哀しい恋の秘密、その恋が終わるキッカケを作ったマギーの気持ち。思春期の双子に危機が訪れても、保護者が不在でした。二人が救いを求めたくても父親は他界しており、残った母親も頼りにならない。

保護者の不在がどれだけ二人の内面を複雑に、そして見えない傷を治療されぬままに残し続けたのか、不安定なまま大人になった文字通り二人きりの姉弟が、崖っぷちの一歩手前でお互いに手を伸ばす、そんな映画です。

それでも作中に散りばめられた姉弟ならではの笑いに溢れるおふざけの数々。シリアスと笑いの強弱が、ストーリーをリアルにする。

この映画はストーリーの本筋がかなりシリアスであるにもかかわらず、随所にSNLのコメディアンとしての二人の特徴を生かした笑わせてくれるシーンが満載です。特に歯医者さんでふざけ合うシーンや、自宅で口パクで歌い合うシーンは映画の本筋を忘れてしまうほどの愉快さ。

人生ってどんなに辛いことが合っても、バカみたいに笑えてしまう瞬間も同じように起こってしまう。たとえ大切なペットのネコが死んで涙をながしても、その晩テレビを見ながら笑ってしまっても彼女が心からネコの死を悲しんでいない訳じゃない。コメディアンであるからこそか、彼らが見せる人生の強弱がものすごく絶妙なバランスで描かれていました。SNLでの共演時代での信頼関係があるからか、彼らの双子としての関係性、また冗談を言い合うシーンはとても自然で見ているこちらも自然に笑ってしまいました。その分彼らが直面する人生のハードな局面で見せるシリアスで絶望した表情の落差がもの凄くて胸に突き刺さるのです。誰だって好きで悪者のような振る舞いを繰り返している訳ではないのでしょう。辞めたくても、辞められない性、根深い問題が横たわっているのです。

また笑える部分で自然と楽しそうにしている姉弟の姿を見ると「もし過去に柵が無ければ、本来はこのように平和で明るい、幸せな二人の姿があったのではないか」と思わされ、とても切ない気持ちになります。しかし迎えるラストのシーンで、過去に失ってきたものたちのかわりに、これからは二人で支え合って行ける姉弟の姿を見て、彼らの幸せを願わずにはいられなくなるのでしょう。

 

監督、主演二人がひたすらコメントしながら映画を見ることが出来るエキストラがスゴく良かった!

日本のDVDに入っているかは分からないが、ベルリンの図書館で借りた英語でのDVDには「本編映像に合わせて監督と主演二人がひたすらにコメントするモード」が収録されています。このコメントが裏話有り、また存分にコメディアン的コメントアリのめちゃくちゃに面白い話が満載でした。裏話を一部紹介致しますと。。。

—冒頭の病院でのシーンをみながら(自殺未遂をしたマイロをマギーが訪ねるシーン)

女優「私達、お互いにそれぞれ画面の端と端に寄って映り込んでいるわね」

監督「そうだよ!実はそういう風に演出したんだ。10年間会うことも無かった姉弟達だから、心理的な距離感を表したくて、君たちが出来るだけ画面の端に行くようにしていたんだ。その後にもっと画面上でも、心理面でも近づいて行けるようにね。」

女優「へー!そうだったんだ〜」

約2時間の映画を観ながら、ひたすら喋り続ける(きっと台本無しでしょうし)ポテンシャルがすごいですよね。しかも聞いていてひたすら面白いんですよ。流石アメリカ合衆国というスターばかりがゴロゴロいる国でトップを走っているコメディアンのお二人。アドリブで喋っても笑わせることも話に引き込ませることもできるのでしょうね。ものすごく面白かったです。(めっちゃシリアスなシーンなのに「あー、私このカーテン好きだわ〜」とか言っちゃうラフな感じ。)字幕でも良いから日本のDVDにも収録されていることを祈ります。

 

主演以外の役者さん達も素敵すぎるのです。セクシーなBoydに深みのTy、そして憎めないLuke!映画をよりカラフルにしています。

Boyd Holbrookと言う役者さん、クッソイケメンのクッソにめっちゃアクセントつけたいぐらいのイケメンです。この役者さん、オーストラリア出身でもないのに「スキューバダイビングのインストラクターなら、オーストラリア訛もあってもいいかもね」というアイディアで、ここまで完璧にそしてセクシーにオーストラリア訛のハスキーボイスで人妻を誘惑する役柄を演じています。首筋のタトューがセクシーすぎて呼吸困難になります。相手役の女優さんも監督も「彼は素晴らしい役者だ」と絶賛していました。

Ty リッチと言うマイロと過去に関係を持った教師役を演じた役者。モダン・ファミリーというアメリカで親しまれていたドラマで父親役を演じていた役者さんです。そのイメージもある彼が「15歳の男子生徒に手を出して教職を去る」という役柄を演じるのですが、この役者さんであったからこそトラウマのモンスターにもなりえる役柄に葛藤や人間味を与えることが出来たと監督が語っていました。

そしてマギーの旦那役を演じたLuke Willsonルーク・ウィルソンこそ、この映画の宝!変な五本指の靴はいてるし、奥さんが浮気を後悔して風呂で死にそうな顔している時に「ねえ、ピザポケットまだあったっけ?」って暢気な質問してくるし、とにかく無害なんですよ。シンプルでひらすらに優しい。男らしいけども、子供みたいに素直で可愛い。裏切る行為を繰り返しながらも夫に愛していると伝えるマギーに対して少し照れながら「俺も愛しているよ」とアイスを頬張りながら答える彼を見たら、誰もが一家に一人、LUKEがいて欲しいと思うでしょう。この映画ではとにかく何かを食べているシーンが多かったルーク。監督さんも「とりあえずモチャモチャ食っとるよな」って自分で演出しておきながらコメントしておりました。

 

日本では劇場公開されなかった映画とのことですが、もしSNLファンの方がいらっしゃいましたら強くお薦めしたい映画です。大きなハプニングも無ければ、派手なストーリーも無い。言ってしまえば少し問題がある家族の日常を描いた映画、それだけかもしれません。でも、コメディアンがコメディアンとしての良さを発揮しながらもシリアスな演技までこなした、実力を充分にみるにはピッタリな映画です。ビル・ヘイダー好きな私にはこの映画の他にも「Dating Queen」(邦題:エイミー!エイミー!エイミー!こじらせシングルライフの抜け出し方!)というSNL出身女優エイミー・シューマーと共演した映画も見てみましたが、やっぱりこちらも面白かったです。こちらも日本劇場未公開作品なので、また時間があれば紹介したいですね。では、TSUTAYAとかで探してみて下さい〜