ベルリンから人生敗者復活戦。

ワーキングホリデーの失敗談を綴る。その失敗の過程と、失敗から出直す、敗者復活戦の過程も勝手に配信する。

公開前夜!続編T2: Trainspottingはキャラクターと一緒に20年間キッチリ年を取った大人が楽しむ「同窓会的な映画」で、正直な話、27歳には味わいきれない時の流れがある。

 

 

 

誰が誰だか分かりますか?20年の時の流れを感じます。

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40歳以下の鑑賞者は蚊帳の外だと感じるかもしれない。

 

タイトルからしてテンション低めですが、20年越しの続編だし!あのトレインスポッティングのオリジナルキャストが再集結だし!監督もちゃんとダニー・ボイルだし!みたいに期待しすぎていたので、前作のような「うげえ!」「狂ってる!」「めっちゃドラッグ!」なトレインスポッティング感のある続編を期待していた私には、正直「汚いオッさん達の壮大な同窓会やなあ〜」ぐらいの印象しか受けませんでした。が、それもそのはず、私は結局蚊帳の外の人間だったのだから。27歳の公開当時子供であった人間には、この映画の20年越しの意味を味わい尽くすことは無理です。この映画は公開当時1996年にレントン達と同じように20歳前後で、若さを爆発させながら鬱鬱とした日々なんかも過ごしちゃっていた人達が、レントン達と同じように年を取ってから鑑賞し、キャラクター達の「20年越しの同窓会」に参加している気分になれる映画であり、それこそがこの続編の醍醐味だと思うのです。映画として見るだけでは「前作ありきの続編すぎて新しさがあまり無いなあ」と、すごい薄味な感想を抱いてしまいかねません。だって私が今やっと、1996年当時のレントン達と同じ年齢になったのだから。私はオッチャン達に1996年当時と同じハチャメチャを期待していたのだけど、それはもう1996年で済んでいた話で、この映画はまさに「20年の年を重ねたトレインスポッティング」でした。(そのまんまやん)

※下記、ちょっとだけ演出に触れるネタバレもありますが、物語の核心には一切触れないので鑑賞前に読まれても大丈夫だと思います。

 

嘘も見栄も無い、現実的な20年の月日が経ったトレインスポッティング

www.youtube.com

ストーリー

「大金を持ち逃げしたマーク・レントンが、20年ぶりにオランダからエジンバラに舞い戻ってきた。表向きはパブを経営しながら、売春やゆすりを稼業とするシック・ボーイ、家族に愛想を尽かされ、孤独に絶望しているスパッド、刑務所に服役中のベグビー。物分かりのよい大人にはなれず、すさんだ人生を疾走するレントンたちが再会する」

映画.comより → http://eiga.com/news/20170119/3/

 

ストーリーや予告編からは「なんかやらかしてくれそうな感じがするな!」って雰囲気なのですが、主人公達はもう40歳をとうに過ぎたオッチャン達なんですよ。もうカッコいいレントンはいないし、何だったら身体のラインもたるんでいる訳です。すごく残酷なぐらい、やたらと後頭部のショットも映し出すし、(あの女子が抱かれたい男NO.1だったシックボーイだって禿げてきている!)20年経てば現実的に身体的な衰えが出るんです。そこを嘘も見栄も無く描いているダニー・ボイル監督、彼が作りたかった続編は前作からキチンと一緒に年を取っています。一番クレイジーでバイオレンスなキャラクターのベグビーの年齢を感じさせるポイントなんて痛烈ですね。年を取って夜の生活が不自由なっちゃっているんです。バイアグラに飛びついてしまうし、ガブ飲みしちゃう。スパッドなんて20代はファンキーな若者でも、40歳過ぎても同じテンションとか、ドン引き。もう憐れにすら見えてしまいます。

公開当時にこの映画を観て一緒に年を取った人達は、もうこの時点で「俺も年取ったな。」と自分の20年間を振り返り、キャラクターに自己を投影して行くのです。そして観賞後には壮大な同窓会に参加したような清々しさと、20年間の生活や想いを含めて映画を鑑賞出来た満足感に浸ることが出来るのでしょう。一方、物心ついてから「映画好きならコノ映画は見とかなきゃ!」見たいなノリでトレインスポッティングを見て、「レントンみたいに若い時に無茶してるのって何となく憧れてしまうなあ」みたいに今から成長する自分をレントン達に重ねていた世代の人達は、年を取ったレントン達の姿は「うわ、ウチのオヤジと一緒やんけ!」と現実の厳しさにガックリきてしまいます。この世代は続編にも前作同様の「ハチャメチャでクールでドラッグ」な映像を求めてしまっているので、オッさんたちの同窓会映画を見せられても消化不十分だし、「前作ありきの続編過ぎてものたりない」と感じてしまうのではないでしょうか。私と一緒に鑑賞した友人もこの世代なので、「トレインスポッティング的な要素が少なかったねえ。ちょっと期待しすぎちゃっていた。」との感想を洩らしていました。40歳以下の鑑賞者は20年間の時の流れを自分のように感じることが難しいので、この映画の一番美味しい部分からは蚊帳の外、味わうことが出来ずに映画館を去ってしまう可能性が大です。

 

エキセントリックでノスタルジックな過去を振り返りながらバイオレントな同窓会が繰り広げられます。

とはいえ、40歳以下であっても前作のファンであれば充分に楽しむことが出来る部分も豊富であり「トレインスポッティングファン楽しむ為の長い長いプロローグ」だと思えば、20年間という時の流れへの自己投影など無視して、純粋にコノ映画を楽しむことが出来ます。コノ作品はもう前作ありき、前作とのつながりを強調しまくった映画なので「あ!このシーンは!」と前作とオーバーラップさせた演出にはニヤニヤすることでしょう。クラブのトイレがクッソ汚いとか、またレントンが走って逃げるとか、前作を見直してから鑑賞すると発見が多くてより楽しめると思います。

 

20年間一緒に年を重ねて来れなかった(つまり公開当時まだまだ子供だった)者からの僻的、モヤモヤ、残念ポイントを無駄に吐き出す。

この映画がトレインスポッティングファンの為の素晴らしい作品であることには異論は無いのですが、次の3点に関してはモヤモヤしました。

① 何で名前が本名ベースになっちゃったんだろう?キャラが普通の人になっちゃった。

前作のトレインスポッティングでは金髪のイケメンはSick boyシックボーイで、主人公のユアン・マクレガーはレントンと呼ばれていました。でも続編では終始シックボーイは Simonサイモンと呼ばれ、レントンにいたっては Mark マークと呼ばれます。なんで?オッさんになったから?金を持ち逃げしたりされたりして、もう友達でもないからニックネームでは呼ばないの?シックボーイとか、あの独特な呼び方にキャラクターの個性が染み込んでいたように思われるので、呼び方が微妙に変わってしまっていたことに寂しさを感じました。ここも20年間の流れを考えると当然なのかもしれませんが。

② これぞトレインスポッティング!というようなエグい、エロい、グロいな演出がほとんどなかった。

異性の友人と観に行ったので気まずいことがほぼ無くて助かりましたが、少し覚悟してまで見に行ったのに拍子抜けするぐらいに平和に終わりました。スパッドが相変わらず汚いことをやってくれたり、今回も若い女の子が「!?」なセックスを見せてくれたりもしますが、「もっとエグくて、エロくて、グロくても良かったのに!」と感じた私はまだまだ前作世代の人間なのでしょうね。きっと自分自身が前作のレントン達みたいな生活への憧れがあるから、続編にも求めてしまうのでしょう。純粋に遊び尽くして40歳を迎えている別の鑑賞者には、年相応に振る舞うレントン達は自然に受け入れられるかもしれません。

 ③ ストーリーに「20年も経ったらあの人が以外にもこんな成長を遂げていた!」みたいな意外性や驚きの演出が無かった。「やっぱりダメに生きてきた人はダメな40代を送るのか」という、微妙に「今からちゃんとしないと、40代は悲惨なことになるんだな」という戒め的な教えを受けて映画館を出る感じだった。

もう全部一気に言っちゃいましたが、これが一番強く受けた印象でした。若い時にヤンチャしていても、大人になってシッカリした仕事に就いて成長していたのは一人だけ。かつてのレントンの相手役、ヒロインだったダイアンだけです。前作で既にレントン達よりもだいぶん年下であるにも関わらず、レントンを手玉に取るような芸当までやってのけていた彼女です。元々の賢さもあったのでしょうが「昔はヤンチャしていたけど」と笑い話に出来るぐらいに現在落ちついているのは彼女だけでした。

その他のキャラクターは、もう皆一列に並んで社会的にアカン人達ですよ。40歳超えてまで、今更何をしているんだ?と自分自身でも哀しくなってしまうような人間になっています。ヤンチャをしていても、どこかでケリをつけないと彼らみたいになってしまう。今からヤンチャをしたい前作世代の人がこの映画を鑑賞すると、前作での高揚感が高かっただけに、一気に現実的な側面を感じて憧れなんて吹っ飛んでしまうんです。だから「ワクワクさせて欲しかったのに、しみったれた現実を見せやがって」と期待はずれ!という感想を抱いてしまうのではないでしょうか。私も最初は「期待はずれだー」と思いましたもん。所詮蚊帳の外の人間の僻です。

 

何よりも20年間の時の流れを感じさせられたのは「ユワン・マクレガーの娘」

これ、もう映画とは最早関係のない無い話になりますが、実は主演のユアン・マクレガーには21歳になる娘いたことをご存知な人はどれぐらいいるのでしょうか?前作が1996年に公開されていますが、このお嬢様は現在21歳、ちなみにモデルをされています。お名前はクララさん。最近インスタグラムに投稿した水着姿の写真が「さすが彼の娘!美しい!」とニュースにまでなりました。

ユアン自身は年を取りましたが、そうはいっても(腐っても)ユアン・マクレガー。45歳になった今も充分にカッコいいです。そんな彼にこんなに大きな子供がいたこと、このエピソードに一番時の流れを感じさせられました、という脱線。

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 クララ・マクレガーさんのinstagramより。さすがモデルさん!足長い!

 

軽くネタバレも挟んでしまいましたが、映画を見なければ分からない部分が沢山あり、この文章で「40歳以下はガッカリするかもしれない」と思って鑑賞したけれども、「20代でも全然楽しめましたけども!」という感想を抱く人もいるかもしれません。是非明日から公開の映画館で、ご自身の20年間を振り返ってきて下さい。なんだかんだ言って映像はスタイリッシュでカッコいいし、ちょっと禿げていてもシックボーイは相変わらずカッコいいし、スパッドもなんだかんだ憎めない素敵なキャラクターのままです。ドイツでの映画館では公開期間が終わりかけで、滑り込みセーフで鑑賞してきました。