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ベルリンから人生敗者復活戦。

ワーキングホリデーの失敗談を綴る。その失敗の過程と、失敗から出直す、敗者復活戦の過程も勝手に配信する。

2017年ベルリナーレで映画鑑賞「彼らが本気で編むときは、」希望としての理想的なハッピーエンドを提示するだけで大いなる意義がある。トランスジェンダーを考えるため入門映画として傑作映画!

ベルリンで就活 Berlinale 2017 映画が好きすぎる。

ベルリナーレで映画鑑賞「彼らが本気で編む時は、」テディー賞、審査員特別賞を受賞!

18日の金熊賞などの授賞式に先駆けて行われた、17日テディー賞授賞式にて審査員特別賞を受賞されました。これはLGBTに関する映画に対して与えられる賞です。萩上監督、本当におめでとうございます!

m.youtube.com

 異例の2部門での上映。丁寧に作られた、優しくて温かなストーリー。

「母親に育児放棄され少女トモは、叔父であるマキオの元に行く。久しぶりに会ったマキオはトランスジェンダーの恋人、リンコと住んでいた。初めは戸惑うトモであったが、だんだんリンコの優しさや、マキオと3人の温かな共同生活で柔らかな笑顔を見せるようになって行く。」

タイトルにもある「彼らが編んでいたのは何か」というポイントは結構グッと来るテーマがあったし、彼らが編む、行為そのものが祈りにも似ていたし、また治療でもあり、一緒に編み上げて行く過程に何度も泣かされました。

映画.comでは、同作品が「第67回ベルリン国際映画祭のパノラマ部門とジェネレーション部門に正式出品されることが発表された。当初はパノラマ部門のみに出品申請をしていたが、同映画祭のプログラムディレクターの目にとまり、「ティーンエイジャーに見せたい映画」との理由で、異例の2部門での上映決定となった。」とありました。

⇩ここで簡単に部門の紹介をしときますね。私の理解はこんな感じ。

コンペティション部門

世界中から優れた映画作品が集められ、最優秀賞である金熊賞などが授与される。

パノラマ部門

コンペティション部門からは外れたものの優れた作品を上映する。

ジェネレーション部門

ジェネレーション部門は児童や若者に照準を合わせた作品を扱う部門。

 

プレミア上映ではないのに舞台挨拶!萩上監督に生田斗真、桐谷健太、主演キャストが上映前に挨拶をしてくれました。

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今日の会場はベルリン動物園に近い、Zoo Palast1 でした。

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会場に入る前から、分かる「誰か来るんだな!」という雰囲気。日本人のファンや関係者がレッドカーペット周りに集まっています。やはり生田斗真さんのジャニーズ文化でしょうか、ベルリンまで追っかけのファンが「TOMA」の団扇まで持って待っていたのには驚きました。スゴいですね〜 イタリア人にジャニーズファンについて説明すると更に驚いていました。

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上映時間が近づくと、なにやら入り口辺りがザワザワしています。あ!生田斗真さんだ!そして桐谷健太さんも入り口前に待機していました。

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そして期待が高まった時、監督を初め、子役の柿原りんかさんも一緒に入場されました。そして舞台に上がって観客に向かって挨拶をしてくれます。最前列に座っているジャニーズファンの皆さんは、もう映画を如何に楽しむかと言うよりも、生田さんを目の前で見る為なのでしょうね。映画中は絶対に首が痛かったはず。

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舞台挨拶では、生田斗真さんは全て英語で挨拶をされ、かつ英語が上手くてすごく聞き取り易かったです。続く桐谷健太さんはのっけから投げキッス!日本語バリバリでいい感じに観客の心をつかんでくれて「日本人の役者にも面白い人がいるのね〜」という明るい印象をつけてくれて嬉しかったです。外国なので英語で挨拶してくれるのも嬉しいですが、日本語を勉強中の友人はやっぱり日本語も聞きたいですからね。そんなファンも多かったと思うので、彼の日本語バリバリの挨拶はかなり好感度が高かったです。しかし、最後のりんかちゃんが「Ich heisse Rikan.」と一生懸命ドイツ語で話しだした時には、もう会場中から「Wow~♪」の歓声と拍手が!まだ小さい女優さんが下手でも、不完全でもあえて現地のドイツ語で挨拶をしてくれるのは現地の観客には嬉しいことです。やはり語学には一気に距離を縮める力があるのだと思わされました。でも、これも先に桐谷健太さんが日本語で挨拶をしていたからこそ、りんかちゃんのドイツ語が更に生きた気がします。すごくいいバランスで言語を選んでいらっしゃったなあ、という勝手な感想でした。

 

「テディー賞」受賞!LGBTを題材にした優れた映画として評価された、教科書的な映画でした。

観賞後は、イタリア人の友人とは完全に「She was good.」と生田斗真をSheと女性名称で読んでいました。それぐらい素晴らしい演技でした。影が見え隠れする瞬間もあるのだけれども、理解ある職場や恋人、また母親に囲まれて生活するトランスジェンダーの生田斗真。もちろん社会としての差別的な反応として「あの人は普通じゃないの」と言って退ける他の子供の母親役の小池栄子や、子供の悪意ある反応だったり、公的な場での扱いだったり、差別も描かれているんです。

でも、映画自体はものすごく肯定感にあふれていて、LGBTであろうとも社会には確実に居場所があることを明確に描いていました。理想的だと言われようが、美談でまとまっていようが、ご都合主義であろうとも、なんだっていい。それ以上に生田斗真だったら美人すぎて女子でも勝てんわ!みたいなトランスジェンダー間で美醜のピラミッド作ったら頂点!みたいな存在がトランスジェンダーの一例として描かれているのも、この際全然オッケー!(リアルを追求するのであれば、桐谷健太と生田斗真が配役を真逆にしたら良い。そしたらリアルなトランスジェンダー感が出ると思う。)でもこの映画の意義は、思い切りにでも「理想的な世界、生活」を提示すること、その一点に尽きると思う。誰だって希望が欲しいし、その希望は手が届く物であって欲しいから。

 

トランスジェンダーの苦しみを描きながらも、苦しみ以上に希望を描いていた。希望を提示して行く必要性を、今月頭のニュースから考える。

「私の娘は胸をかきむしって自殺した」そんな記事を2週間ほど前に読んだ。

2月3日に掲載されている、朝日新聞デジタルの『「この体が嫌なんよ」胸かきむしり嗚咽、命絶った我が子』という記事を読んで頂ければ、この映画が如何に理想を描いているかは見て取れると思う。トランスジェンダーと言っても、このニュースの場合は「女性の身体で生まれた男性が、胸があること、性別の違和感に苦しんだ」ケースだ。この方は悩んだすえに、哀しいことに命を絶ってしまった。

http://www.asahi.com/articles/ASK227GYSK22PITB011.html

セクシャルマイノリティーの子供の自殺率は高い。日本だけではなく世界中で考えて行くトピックである。子供でなくとも、何歳になろうが「普通ではないこと」は「普通であること」をなによりも求める日本社会においては大きな苦しみとなる。そこで「トランスジェンダーは差別で苦しんでいる」「悩んで傷ついて、それでも生きて行く」そんな哀しく、苦しみばかりのストーリーを見せられても正直しんどい。でもドラーグクイーンのようなショービジネスでの華々しいサクセスストーリーも、浮世離れしていて誰もが目指せる道ではない。

この映画では身近で、手が届く範囲のお話として、そして高望みはしないけれども、ほのかな幸せを感じて生きて行けるぐらいには温かな生活を描いていた。リンコの職業は老人介護施設の介護士である。そこでは女性と同じピンクの作業着に身を包んで、女性として職場でも働いている。差別を受けても変わりに怒ってくれる人がいる。苦しんでも、一緒に泣いてくれる人がいる。傷ついても一人じゃない、大切な人と生きて行く。そんな希望を与えてくれる映画でした。

誰だってこのトピックの当事者となりうる。LGBT本人、その親、兄弟、そして友人や、担任の先生になりうる。つまり、「きっとクラスに一人はいる」「会社の同じオフィスにもいる」そんな身近にかならずいるセクシャルマイノリティーの人達に意識を向けるのであれば、誰もが当事者となりえるのだ。そして当たり前のことと感じて、彼らの想いや生活を、テレビの「オカマ」というキャラクターではなく、派手さも無い普通の、ごく当たり前の生活を観てくれたら良いと思う。だからこそ、この映画はパノラマ部門でありながらも、異例のジェネレーション部門にも、2部門同時での出品となったのでしょう。

 

映画好きの為の映画ではなく、広く鑑賞される為に丁寧に作られた素晴らしい映画でした。

映画としては泣けるし、演出も面白いし、俳優さん達は綺麗だし、「彼らが本気で編むときは、」というタイトルの「何を、何故編むのか」そんなテーマが一貫しているところも素晴らしい構成だったと思います。でも、「どこかで観たことがあるストーリー展開」であったり、「まあトランスジェンダーっていうトピッグを別の社会的テーマに入れ替えても成立しそうな、よくあるハッピーエンドの人間ドラマなストーリー」であったとも言える。次の映画館へと向かう電車の中で「どの日本食もお美味しそうだったね」と映画に出てきた天ぷらそばの話をした後は、友人と「どこかで観たことがある」感じは否めないと話しました。昨夜のMr.Longのように、「何日寝ても頭にこびりついて離れないシーンがある」みたいな爪痕は残して行かない映画です。でも、トランスジェンダーを描いた日本映画としてすごくいい教材だと思う。だからこそワザと生田斗真と桐谷健太を逆に配置したりしないで、観客が抵抗無く鑑賞出来るように作られた映画だと思う。入り口を拡げると言う意義を考えれば、ここでリアルを書く必要はなかったし、当事者に生きて行く希望を提示する意義を思えば、ご都合主義でもなんでもいい。理解者が一杯、幸せな生活とハッピーエンドでいい。

理解者や同じ悩みを抱える人に出会いにくい社会に置いて、手が届くかもしれない希望を示すことが何よりも大切だからです。

 

日本公開は2月25日!仕事帰りに、週末に、映画館に行きませんか?

上映前に挨拶があって、上映後には観客らの拍手に応えて再び立ち上がって挨拶くれた。それだけで充分観客に答えてくれたし、すごく印象が良かったです。遠いベルリンまでメインキャスト3人が来てくれたことはスゴく嬉しいですね。何度も丁寧にお辞儀をしたり、萩上監督を始めキャストの皆さん素敵でした。

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この次に続けてみた日本映画でも字幕に関して記載するつもりだけれども、今回の映画はストーリーが分かり易く、会話の表現も全世界に通じるような観念と感覚で成り立っていたので、英語に訳されていようが、問題なく外国人も理解出来たし、日本語ネイティブが感じ取る世界観との感覚にギャップはなかったと思う。

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映画鑑賞後には「パノラマ部門の作品を評価して下さい」という投票用紙を頂きまして、友人とともに投票してきました。もちろん満点つけときました!

 

二度あることは三度ある?桐谷健太さんにもう一度会える気がする件。

最後に、個人的なことを記載すれば、実は桐谷健太さんを見るのは今回が2回目。ベルリンに来る前に住んでいた、沖縄の石垣島にて行われた「つんだみライブ」という野外音楽イベントにスペシャルゲストで来て下さっていたんですよね。auの浦島太朗役で披露していた、BEGINさんが作曲した「海の唄」を歌ってくれました。歌もうまいし、その時もラップを披露して下さったり、本当にサービス精神が強い素敵な俳優さんですね。しかしまあ、石垣島にベルリンで会えたってなんやねん。きっとまた会えるのではないかと勝手に期待しております。では、友人に教えてもらった「二度あることは三度ある」のドイツ語「Alle gute Dinge sind drei.」を書き残して終わります。